突然過去のことを思い出しました。


もう12~13年ほど
前のことです。



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当時私は酷い鬱で、何をする気力もありませんでした。
笑うことを忘れ、気付けば悲しくもないのに涙がこぼれます。


ゴミに囲まれていても
拾うことも捨てることもできず、
食事の用意もできない。



やらなければと思えば思うほど
体は鉛のように重くなり
そんな自分を責める日々でした。



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そんなある日、
微かに聞こえた猫の声。
悲しげに、助けを求めるような声に
身を起こしました。



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久しぶりに窓から外を見ると、
塀の上に見知らぬ猫が
座り込んでいました。


声の主はこの子のようです。



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野良らしいその子をよく見ると
目から血膿を滴らせていました。


何をしたの?喧嘩?
それとも誰かにいじめられたの?


私を見ても逃げない猫。
私、お節介していい・・・?



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たまたま試供品で貰った
猫用フード。
実家の猫にあげようと
思ったものだけど、
役に立ってよかった。


怪我をした猫に差し出すと



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お腹が減っていたのか
美味しそうに食べてくれました。



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傍で眺めていても逃げません。
食欲が衰えていないということは
生きる気は満々。


でも目がそれじゃ辛いよね。



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正しい判断か分からないけど
放っておくことが出来ない。
ちょっとお医者に診てもらおうね。


初対面の私に身を任せてくれた猫。


あんまり従順なので
飼われていた子かも・・・
そう思いながら
近くの病院に連れていきました。



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目をキレイに拭いてもらい処置。
飼い猫ではないので
飲み薬ではなく注射。


このまま保護しようかとも
思ったけれど、
飼い猫かも知れないし、


もし違うとしても
居心地の悪い所に
閉じ込められることは
返って迷惑なことと
身を持って言える私は、
猫を自由な世界に放ちました。



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それからしばらくしたある日、
あの猫が塀の上に居ることに
気が付きました。


直感でお礼に来てくれたのだと
思いました。



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キレイに治った目をしっかり開けて
私を見ていました。


治って良かったね、
もう怪我なんかしちゃだめだよ・・・



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そこには言葉なんかないけど、
私を見つめる目に感謝の気持ちが
込められていたように思います。


そして
『あなたはここにいてはいけない、
早く飛び立ちなさい』



そう言われた気がしました。




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考えてみれば
自分の身のまわりのことすら
満足に出来なかった私が、
この子のために
言うこと聞いてくれない体を
動かし、
暫く働かなかった思考回路を
フル回転させて、
自然と必然と考えることを
したのです。


あなたは必ず治るんだから
ここから旅立ちなさい・・・



そうだ、私はダメなんかじゃない。
自分で何でも出来るんだ・・・
そう気づかせてくれたように
思います。


その後、
思い切って環境を変えた私は
数年で鬱を克服し今に至って
います。


治った要因はたくさん
あるのですが、
この通りすがりの猫が
先駆けを
作ってくれたんだと
今でもそう思っています。









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それではまたお会いしましょうペコリ~